体全体に影響する腸内細菌の役割
季節の変わり目ですね、春の訪れは嬉しいですが体調管理がますます重要になってきます。今回は、私たちの健康に密接に関わる「腸」と「腸内細菌」についてお話します。
◾️腸の基本的な役割とは?
腸は単なる消化吸収の器官ではありません。体に必要な物質を合成したり、免疫機能のサポートなど、私たちの健康を維持するために欠かせない機能が数多く備わっています。
- 消化 – 食べ物を分解する
- 吸収 – 栄養を吸収する
- 解毒 – 有害物質をブロックし、肝臓をサポート
- 排泄 – 不要物や毒素を体外へ出す
- 浄血 – 血液をきれいに保つ
- 免疫 – 体の70%の免疫力を作る
- 合成 – 酵素やホルモン、ビタミンなどを作る
それぞれの機能について詳しくご紹介します。
♦︎消化
食べたものを栄養として体に取り込むためには、まず食べ物を小さな単位に分解する必要があります。消化酵素が炭水化物やたんぱく質を分解し、腸内で脂肪も分解されます。消化できない食物繊維は、大腸で腸内細菌によって発酵され、エネルギー源となる短鎖脂肪酸が作られます。これには、抗菌作用や抗炎症作用、免疫細胞の活性化など、健康に欠かせない働きがあります。
♦︎吸収
消化された栄養素は、小腸の表面にある絨毛というヒダを通して吸収されます。腸は栄養を必要に応じて選別し、有害物質を排出します。この選別を支えているのが腸内細菌です。腸内で「リーキーガット症候群」が起こらないようにするためには、腸内細菌の多様性が重要です。
♦︎解毒
腸は体内に入った有害物質を最初にブロックします。そして、ブロックできなかった有害物質は肝臓で解毒されます。腸内細菌は有害物質を代謝する細菌もおり、腸内では細菌たちがバランスを取りながら、健康をサポートしています。
♦︎排泄
消化後、腸には食べ物のカスが残ります。腸はそのカスから水分を吸収し、最終的に固形の便を作ります。この便は腸のぜん動運動によって運ばれ、便意を催します。腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は、スムーズな排泄をサポートします。
①水分たっぷりな状態。栄養分は小腸内で吸収されます。
②「残り」は大腸に移動。水分が少しずつ吸収され固形化していきます。
③便がスムーズに動けるように、大腸から粘液が分泌され便をコーティングします。
④便は何層にもコーティングされベタベタ状態、そこへ大腸が水分を分泌。便は肛門から排泄されます。
日本人の平均の量は約200g、バナナ1本分が理想です。食べる量もありますが、便の量が少ないほど不要物は体内にたまります。
♦︎浄血
血液と腸を結びつけて考える方はあまり多くないかもしれません。血液の主な役割は全身に酸素や栄養を運搬することです。ほかにも代謝物の運搬、体液の浸透圧維持など様々な機能があります。
なぜ腸と関係するかというと腸で吸収された栄養素が血液に取り込まれ、全身に運ばれます。腸の状態が良ければ、血液もきれいになり、全身の細胞が元気になります。食べ物と腸の状態が血液の質に直結するため、腸の健康は血液の質にも大きな影響を与えます。
♦︎免疫と合成
腸は免疫の70%を担当しています。消化管は体外とみなされ、免疫細胞が活発に働きます。腸内細菌が免疫細胞を活性化させるため、腸内細菌の多様性が重要です。腸では、消化酵素のほか、ビタミンやホルモンも作られ、体の調整に関わっています。
◾️腸でつくられるもの
これまでお話しした通り、腸は体外から取り入れた栄養素を処理しますが、実は腸内でも重要な物質が作られています。主なものをご紹介します。
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酵素
酵素は私たちの生命活動に欠かせない物質です。食べ物の消化吸収、呼吸、筋肉の動きなど、すべての活動に関わっています。特に消化酵素は、腸と腸内細菌が協力して作り出し、食べ物を効率よく分解します。 -
ビタミン
腸内細菌はビタミンB1、B2、B6、B12、パントテン酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンK2、葉酸など、私たちの健康に不可欠なビタミンを合成しています。これらのビタミンは、エネルギー代謝や免疫機能を支える重要な役割を果たします。 -
ホルモン
ホルモンは体内外で起こった出来事を各器官に伝える重要な物質です。腸では、消化を助けるホルモン(セクレチンやインクレチンなど)が分泌されるほか、「幸せホルモン」として知られるセロトニンも腸で合成されます。セロトニンは気分や睡眠に大きな影響を与えています。 -
短鎖脂肪酸
腸内細菌が食物繊維を発酵させることによって作られる短鎖脂肪酸は、腸のエネルギー源となり、腸のぜん動運動を助けます。また、抗酸化作用を持つ水素も腸で生成され、体内の酸化を防ぐ重要な働きをします。
これらすべての物質が腸内細菌によって作られ、体の健康を支えるために必要不可欠です。
◾️腸と腸内細菌の役割まとめ
ここまで腸の7つの基本的な機能としてご紹介いたしました。
長くなりましたが腸のお話に絞ってもこれだけの働きがあり、その働きは他の人体の各器官へ複雑に影響を与え合っています。
腸が健康であることは、全身の健康を保つうえで欠かせない要素です。食事や生活習慣に気を付けて、腸内環境を整え、腸内細菌が活動しやすい環境を作ってあげることが生き生きとしたライフスタイルに繋がります。
◾️腸内環境・腸内細菌のためにできること
- 様々な種類の発酵食品、食物繊維、野菜、肉をたべる
- ジャンクフードや加工食品、砂糖を控える
- 食事は1回30回かんで、腹八分目
- 1日1〜1.5リットルくらいのミネラルウォーターを飲む
- 7時間以上の睡眠をとるように心がける
- 週に数回20〜30分の運動
シンプルなことですが、忙しい生活の中ではなかなか難しいこともありますね。あれもこれも完璧にやらなきゃと焦るより少しだけ取り入れてみようと意識を変えるだけでも体は変化してくれるはずです。
ちょっとだけ腸について意識を向けることで生き生きと過ごせるようになります。これから腸と上手に付き合い、これから春に向けて動き出すなにかと慌ただしくなる時期を元気に過ごしましょう!
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出典:B&S corporation 乳酸菌生成エキス研究室 L A B O